富山大学工学部 生命工学コース 遺伝情報工学研究室 Laboratory of Molecular and Cellular Biology

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遺伝情報工学研究室

遺伝子工学技術を駆使した疾患原因の解明と治療用抗体の開発

研究紹介

認知症の分子機構の解明

遅発性アルツハイマー型認知症の発症機構の解明に向けて

日本を始めとする先進国では高齢者人口の増加に伴う、認知症患者の急増が大きな社会問題になりつつあります。認知症の発症原因を明らかにし、治療法や予防法が開発できれば、社会への大きな貢献となります。認知症の過半数はアルツハイマー型認知症によって占められ、2%を構成する若年性アルツハイマー型認知症では、アミロイド前駆タンパク質遺伝子やプレセネリン1遺伝子やプレセネリン2遺伝子の変異によって引き起こされることが明らかにされています。しかし残りの98%を占める遅発性アルツハイマー型認知症では、これらの遺伝子のいずれにも変異が認められないことから、その発症機構を明らかにするための研究が世界中で行われています。われわれの研究室では、遺伝的に認知症を起こすSAMP8マウスに着目し、連鎖解析法という遺伝学的手法を用いてSAMP8マウスの認知症の発症に関わる遺伝子を探索しました。その結果、複数の原因遺伝子を見出すことに成功しました。非常に興味深いことに、これらの遺伝子は、いずれもヒトの遅発性アルツハイマー型認知症においても発症原因となり得る遺伝子であることが分かりました。そこで現在、これらの遺伝子の機能解析を行うことで、複数の遺伝的背景が複雑に絡み合って引き起こされる遅発性アルツハイマー型認知症の発症機構解明に迫るとともに、治療法・診断法ならびに予防法の開発を目指して研究を行っています。

世界最速の抗体取得技術

単一細胞由来高性能モノクローナル抗体迅速単離システムの開発

われわれは、免役された個体から目的の抗原と結合するモノクローナル抗体を最短4日間で取得できる世界最速かつ高効率な抗体取得システムの開発に成功しました。図に示すように、本システムは(1)セルソーターを用いた抗原特異的抗体産生単一細胞の分離、(2)懸垂液滴アレイ式磁気ビーズ反応(MAGrahd)法と命名した独自開発の手法による、多数の単一細胞からの5’RACEcDNAの自動合成、(3)免疫グロブリン軽鎖ならびに重鎖可変領域遺伝子断片の増幅、(4)標的配列選択的連結PCR(TS-jPCR)法を用いた、一切の精製や大腸菌を介さない抗体可変領域遺伝子断片の抗体発現ユニットへの選択的組込み、(5)得られた発現ユニットの培養細胞への導入と発現というステップで構成され、わずか4、5日間の行程で抗原特異的な抗体を多数単離できるという特徴を有します。この手法を応用することで、従来から広く用いられているハイブリドーマ法では取得できなかった、難易度の高い抗体の取得に数多く成功しています。

がん治療用抗体の開発に向けて

細胞内がん抗原を標的とするT細胞受容体様抗体の効率的取得法の開発

がん細胞のみで発現する「がん抗原」や、がん細胞と正常細胞で発現するものの、がん細胞で遙かに高い発現が観察される「がん関連抗原」は、体内のがん細胞を見つけて攻撃する目印となることから、がん細胞をやっつけるための治療用抗体の標的分子となってきました。しかし、これら何百種類も存在する「がん抗原」や「がん関連抗原」の大半は細胞内でしか発現せず、細胞表面における発現が認められないため、細胞膜を通り抜けられない治療用抗体にとって、標的分子として利用することができませんでした。しかし、たとえ細胞内タンパク質であっても、その一部分は抗原ペプチドとして主要組織適合抗原(MHC)クラスI分子との複合体(pMHC)を形成することで細胞表面に輸送され提示されることから、このpMHCを認識するT細胞受容体(TCR)様抗体の利用に注目が集まっています。ところが、TCR様抗体はpMHCの抗原ペプチドとMHCの両者を認識する必要があるため、従来法では取得が極めて困難でした。そこで、われわれの開発した抗体取得システムを応用したところ、さまざまな標的がん抗原に適用できる、TCR様抗体の確実かつ迅速な取得法の開発に成功しました。

外部リンク 夢ナビTALK

生命工学が牽引する抗体医薬品開発

生命工学と抗体医薬品開発について知りたいヒト 必見!!

 

メンバー紹介

磯部 正治

磯部 正治教授

Masaharu ISOBE, Professor

略歴

富山大学薬学部卒業、富山医科薬科大学大学院博士課程修了、米国ウイスター研究所博士研究員、富山医科薬科大学和漢薬研究所助手、富山大学工学部助教授、富山大学工学部教授、富山大学大学院理工学研究部教授、現在に至る

学位・資格等

  • 薬学博士
  • 薬剤師免許

専門分野

  • 分子生物学
  • 分子遺伝学

主な業績

  • in situ hybridization法によるヒト遺伝子の染色体マッピング
  • ヒトT細胞受容体遺伝子座の解析
  • 染色体転座によるT細胞白血病発症機構の解析
  • ヒト14番染色体のゲノム解析
  • 動物種を問わないモノクローナル抗体取得法の開発

プロフィール

モットー 継続は力なり、やり抜くことが大事

黒澤 信幸

黒澤 信幸教授

Nobuyuki KUROSAWA, Professor

略歴

富山医科薬科大学薬学部卒、富山医科薬科大学大学院博士課程修了、理化学研究所博士研究員、名古屋大学医学部助手、富山大学工学部助教授、富山大学大学院理工学研究部教授、現在に至る

学位・資格等

  • 博士(薬学)
  • 薬剤師免許

専門分野

  • 分子生物学
  • 糖鎖工学
  • 抗体工学
札場 裕香

札場 裕香技術職員

Yuka FUDABA, Technical Staff

略歴

静岡大学理学部生物地球環境科学科卒、静岡大学大学院修士課程生物学専攻修了

研究業績

単一細胞由来モノクローナル抗体迅速単離システム関連

その他の業績

特許リストとその他のリンク

特許名

発明者

登録・出願番号

反応治具及び反応方法、並びにcDNAの合成方法

磯部正治・黒澤信幸

特許第5244130号

相同組換え方法およびクローニング方法並びにキット

磯部正治・黒澤信幸

特許第5628664号

標的遺伝子由来配列を含む連結DNA断片の特異的作製方法

黒澤 信幸, 磯部 正治

特許第5779502号

形質細胞同定及び単離用蛍光プローブ並びにこのプローブを用いた形質細胞の同定又は単離方法

黒澤 信幸, 磯部 正治

特許第5779577号

形質細胞または形質芽細胞の選択方法、目的抗原特異的な抗体の製造方法、新規モノクローナル抗体

黒澤 信幸, 磯部 正治

特許第5963746号

抗原特異的モノクローナル抗体作製方法

黒澤 信幸, 磯部 正治

WO2017-026532

 

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