世界につながるインターネット
【光信号処理による緊急放送用一括変調方式】
2011年の東日本大震災の津波や,各地で起きた豪雨による川の氾濫,土砂災害では,緊急時の避難は一刻も早く,一人でも多くの住民に情報伝達が的確に行われていればと悔やまれました。
近年,研究室では,多チャネルマルチキャリアを同時に一括して光変調器を用いてQAM変調するという全く新しい概念に基づく変調方式を,新規に考案しました。
この新しいQAM変調方式を用いれば,低コストで,津波などの緊急時に,CATVのテレビ放送信号を多チャネル一括して緊急放送でのQAM変調信号に迅速に,しかも,確実に切り替え,(字幕スーパーではなく)映像による緊迫する緊急情報が的確に伝達できるようになります。
さらに,研究室では,光信号処理技術を用いて,同時に多チャネルを,一括して直交周波数分割多重(OFDM変調)するという全く新しい概念に基づく一括変換方法を,新規に考案しました。
この新しいOFDM一括変換を用いれば,津波などの緊急時に,CATV局が再送信する地上波テレビ放送信号から,市区町村の緊急放送信号に一括して多チャネルの切換えが可能となります。さらに,CATV局の従業員が避難しても気象庁等,遠隔から緊急情報がCATV放送できるようになります。
研究室では,この新規な,一括多チャネルQAM光変調方式と,地デジOFDM多チャネル一括変換の,世界初の提案と実証,開発を行っています。
JSPS科研費 JP26420349,および JSPS科研費 JP17K06421の助成を受けています。
特許登録されました。特許第6332977号,特許権者:国立大学法人富山大学,発明者:菊島浩二,発明の名称:QAM変調方法並びにQAM変調装置及びこれを用いたCATVシステム,出願日:2014年1月20日,登録日:2018年5月11日
【ネットワークの構成法】
サブテーマ:21GHz隊衛星放送信号の光再送信
12GHz帯に加えて,21GHz帯(21.4~22.0GHz)が衛星放送周波数としてITUの世界無線通信主管庁会議によって割り当てられています.この21GHz帯は,超高精細映像の放送メディアとして期待が大きいのですが,21GHz帯は12GHz帯に比べて降雨減衰量が大きいという欠点があります.
21GHz帯衛星放送の補完的な降雨減衰対策として,アクセス区間における光ファイバの再送信システムとして,PONシステムと共用することを提案しています.
(なお,現在は,次のアイデアが浮かぶまで,研究を中断しています。)
【気持ち通信(ハート通信,ハートコミュニケーション)】
これまで,電話や音声品質の向上や,テレビ会議の画面の大型化や画質の向上により,気持ちも一層伝わると考えられ,臨場感通信の研究がされてきました.
また,光IP電話の急速な普及に伴い,テレビ電話の普及も夢物語ではなくなってきました.
本研究室では,気持ちをより一層,相手に伝えるために,テレビ画面の背景に注目しました.
実験の結果,背景の色を変えることにより,気持ちがより一層,相手に伝わることがわかりました.
(なお,現在は,次のアイデアが浮かぶまで,研究を中断しています。)
【ソリトン】
波動は水の波や電波など身近なところにある,ありふれた現象です.波動の一種であるソリトンは長距離を伝搬しても,衝突しても壊れない波で粒子のように振る舞います.ソリトンは遠浅の海岸やプラズマの波,電気回路など多くの系に現れます.光ファイバ中のソリトンの性質を利用し,次世代大容量超高速通信の候補として,理論,実験の両面から多くの研究がこれまで多くの機関でなされてきました.
研究室では,これまで,研究の成果を学会で発表しました.
菊島浩二 (きくしま こうじ)教授
Koji Kikushima
略歴
昭和56年3月 東京工業大学工学部電気・電子工学科卒業
昭和58年3月 東京工業大学大学院理工学研究科電子物理工学専攻修士課程 修了
昭和58年4月 日本電信電話公社(NTT)入社
昭和58年5月から平成20年3月 NTT研究所(1ヵ月間の新入社員研修の後,NTT退職までの24年間と11ヵ月の間,研究開発実用化に従事)
平成5年から平成6 年英国ブリティッシュテレコム研究所 1年間勤務(留学)
平成13年5月 博士(工学)東京工業大学
平成20年3月 日本電信電話株式会社(NTT)退職
平成20年4月 富山大学 大学院理工学研究部,兼 工学部 教授,現在に至る
平成20年度から平成22年度まで 富山大学大学院(工学)教学委員
平成20年度から平成29年度まで 富山大学大学院(工学)及び工学部 自己点検評価委員会委員
平成21年度,および平成26年度 富山大学大学院知能情報工学専攻 及び工学部知能情報工学科 就職担当
平成24年度,および平成25年度 富山大学工学部 教務委員
平成25年度,および平成26年度 富山大学(全学) e-ラーニングTT委員
平成26年度 富山大学大学院(工学)及び工学部 就職指導委員会 委員長
平成26年度 富山大学(全学) 就職指導委員会 委員
平成22年度,および平成27年度 富山大学大学院知能情報工学専攻 専攻長,兼 工学部知能情報工学科 学科長
平成28年度,および平成29年度 富山大学(全学) 地域連携推進機構会議委員
平成元年度,および平成2年度 富山大学大学院(工学)修士課程 教学委員会委員
平成2年度,および平成3年度 富山大学大学院知能情報工学専攻 及び工学部知能情報工学コース 2022年卒・修了学生就職担当(就職指導委員会委員)
学位・資格等
工学博士
専門分野
情報通信ネットワーク、通信方式、光通信システム
主な業績
【主な業績】
通信ネットワーク,及び光通信について研究を行ってきました。以下に主な研究を示します。
(1) 統計的設計法の提案
光伝送システムを統計的に設計する方法を提案しました。提案した設計法は国際連合(国連)の国際標準(ITU-T Series G supplement 39, ITU-T G.955, ITU-T G.957,及びITU-T G.982)になりました。
(2) 光ファイバ増幅器の研究
光ファイバ増幅器の歪みと雑音を低減しました。研究成果は,国際連合(国連)の国際標準(ITU-T J.186)の作成に貢献しました.
(3) FM 一括変換方式の提案
広帯域なCATV 信号を一括してFM 変調する方式を提案しました。提案した設計法は国際連合(国連)の国際標準(ITU-T J,185)になり,上述の光ファイバ増幅器と組合せて広く使用されています。
(4) QAM/OFDM一括変換方式の提案
多チャネルマルチキャリアを同時に一括して光変調器を用いてQAM/OFDM変調するという全く新しい概念に基づく変調方式を,新規に考案しました。この新しい変調方式を用いれば,低コストで,津波などの緊急時に,CATVのテレビ放送信号を多チャネル一括して緊急放送でのQAM変調信号に迅速に,しかも,確実に切り替え,(字幕スーパーではなく)映像による緊迫する緊急情報が的確に伝達できるようになります。
【表彰】
外部表彰
[1] 電子情報通信学会 学術奨励賞 (アナログ光映像分配システムへの光ファイバ増幅器の適用),平成3年3月
[2] 科学技術庁 科学技術庁長官表彰 注目発明賞,平成12年4月
[3] (社)電信電話技術委員会 (TTC) 感謝状 (ADSLの標準化の推進に係わる功績),平成13年5月
[4] (財)日本ITU協会 功績賞 (ITU-T 第 9 及び第 15 研究委員会における標準化活動),平成15年5月
[5] 国際連合(国連)国際電気通信連合 電気通信標準化部門 第 9 研究委員会 感謝状 (ラポーターとしての卓越した支援に対して),平成16年5月
[6] 電子情報通信学会シニア会員称号受賞,平成21年5月18日
[7] IEEE Communications Society, Certificate of Appreciation(感謝状),January 2011
社内表彰
[1] NTT 伝送システム研究所 所長表彰 研究成果賞 (光ファイバ増幅器を適用した多チャンネルアナログ映像伝送技術の研究),平成2年10月
[2] NTT 伝送システム研究所 所長表彰 研究成果賞(アナログ多チャンネル光映像分配システムの研究開発),平成5年3月
[3] NTT 社長表彰 発明考案賞(光分岐増幅による大規模光映像分配システムの実用化),平成5年12月
[4] NTT 光ネットワークシステム研究所 所長表彰 チャレンジ賞(光技術による超広帯域FM変調技術の実現とアナログAM-CATVへの応用),平成8年2月
[5] NTT 研究開発本部長表彰 特許発明賞(FM一括変換型映像伝送技術),平成9年9月
[6] NTT 情報流通基盤総合研究所 総合研究所所長表彰 研究開発賞(FM一括変換技術を用いた経済化CATV映像分配システムの実用化),平成12年2月
[7] NTT勤続25年表彰受賞 平成20年3月
学内表彰
[1] 富山大学工学部,平成23年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2012年4月
[2] 富山大学工学部,平成24年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2013年4月
[3] 富山大学工学部,平成25年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2014年4月
[4] 富山大学工学部,平成26年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2015年4月
[5] 富山大学工学部,平成27年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2016年4月
[6] 富山大学工学部,平成28年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2017年4月12日
[7] 富山大学工学部,平成30年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2019年4月10日
[8] 富山大学工学部,令和元年度 学生が選ぶザ・ティーチャー,2020年4月15日
親しみやすい,ICT坊や,IoT坊や,クラウド坊や,等のキャラクタを用いて,わかりやすい授業を目指しています。
【所属学会,2021年3月現在】
電子情報通信学会(シニアメンバー,北陸支部長),映像情報メディア学会,レーザー学会,IEEE
【これまでの学会活動】
・IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)
国際会議 パネルディスカッション,パネリスト,Panel discussion on 1.3μm versus 1.55μm and direct versus external modulation for video distribution , IEEE Topical meetings on broadband analog & digital optoelectronics, Invited Paper, Santa Barbara, California, paper no.ThD, April 1992
国際会議 招待講演,6回
国際会議 セッションチェア,International Conference on Integrated Optics and Optical Fiber Communication (IOOC) , Hong Kong, 1995
国際会議 テクニカルプログラム委員, Broadband Access Conference(BAC), Cracow, Poland, 1999
Journal of Lightwave Technology,及び Photonics Technology Lettersの査読
・OSA(Optical Society of America)
Applied Optics,及び Journal of Optical Networking の査読
・SPIE(The International Society for Optical Engineering)
Optical Engineering Letters の査読
・ICIDT2012(International Conference on Information Science and Digital Content Technology (ICIS and IDCTA)) Workshop Committee Member, March 2012
・電子情報通信学会
英文論文誌編集委員,平成13年~16年
査読委員,平成16年~平成20年
代議員,平成22年度
北陸支部評議員,平成21年度~平成22年度
ソサイエティ大会実行委員会委員,平成24年
・情報処理学会
北陸支部評議員,平成23年度~平成24年度
・電気学会
部門大会(C部門) 現地実行委員会委員,平成23年
・応用物理学会
Applied Physics Express (APEX) / Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)の査読委員,平成26年度~平成28年度
・情報科学技術フォーラム(FIT2016)現地実行委員会 副委員長,平成28年
・国際会議 Microoptics Conference (MOC) 2019, Local Committee Member,2018-2019.
・電子情報通信学会 北陸支部 次期支部長,令和元年度.
・電子情報通信学会 北陸支部 支部長,令和2年度.
【電気通信・放送技術の標準化】
日本国
郵政省参与,平成12年4月
総務省・郵政省委員会
郵政省 電気通信技術審議会
・電気通信標準化委員会第10専門委員会 調査研究員,平成11年~13年
・無線通信委員会放送業務専門委員会放送業務専門委員会分科会 調査研究員,平成11年~13年
・無線通信委員会放送業務専門委員会固定衛星業務専門委員会SNG分科会 調査研究員,平成11年~13年
総務省 情報通信審議会情報通信技術分科会
・ITU-T部会ケーブル網・番組伝送委員会 調査研究員,平成13年~14年
・ITU-R部会放送業務専門委員会 固定衛星業務専門委員会 調査研究員,平成13年~14年
国際連合(国連)
国際標準化
国際連合(国連) 国際電気通信連合 電気通信標準化部門
(United Nations, International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector, UN ITU-T)
・UN ITU-T SG9(国際連合(国連)電気通信標準化部門第9研究委員会:統合型広帯域ケーブルネットワーク及び映像・音声伝送)におけるB-ISDNに関するリプリゼンタティブ(代表),平成9年~12年
・UN ITU-T SG9(国際連合(国連)電気通信標準化部門第9研究委員会:統合型広帯域ケーブルネットワーク及び映像・音声伝送)におけるアクセス系伝送に関するリプリゼンタティブ(代表),平成10年~15年
・UN ITU-T SG15 Q3(国際連合(国連)電気通信標準化部門第15研究委員会:光及びその他の伝達網,課題3:“ISDNの物理層に関する標準の拡張と維持” )に関するラポーター(課題について議事進行,とりまとめ,国際標準の案等,文書を作成し報告する役職です),平成13年~15年
・UN ITU-T SG9 Q16(国際連合(国連)電気通信標準化部門第9研究委員会:統合型広帯域ケーブルネットワーク及び映像・音声伝送 課題16 “光アクセス系多チャンネル映像配信” )のラポーター(課題について議事進行,とりまとめ,国際標準の案等,文書を作成し報告する役職です),平成13年~16年
国内標準化機関
国内標準化
社団法人情報通信技術委員会(TTC)
・第二部門第一専門委員会(ISDN関連)委員 平成10年~12年
・第四部門ADSL標準化検討アドホック委員会委員長 平成11年~12年
・第四部門第六専門委員会(ADSL関連)委員長 平成12年~14年
プロフィール
【授業科目】
情報処理,離散数学,通信システム,情報ネットワーク,通信方式特論第1,等
【教育】
毎年の年度末,学部3年生が選ぶ授業のわかりやすい先生,ザ・ティーチャーに,平成23年度から平成28年度まで,6年間(6回)連続して選出され,1年おいて,平成30年度,令和元年度に再び選出され,計8回選出されました。
【趣味】
・富山の名水を味わうことです。
・登山,ハイキング,そして,立山連峰を眺めることです。
大学生のときには,卓球部の合宿でトレーニングの一環として尾瀬至仏山(2228m)登山,大学院修了の後,4年間,登山をしていました。(北岳(3193m),聖岳(3013m),乗鞍岳(3026m),富士山(3776m),谷川岳(1963m),等)
その後は,筑波山(877m),等
富山大に来てからの近年では,2018年,2019年には立山(3003m)に登山しました。
山頂で眺める立山連峰の稜線の美しさに感動します。
・温泉めぐり
・マラソン
東京工業大学体育会卓球部所属(学生時代)
学生時代には,トレーニングの一環として走っていました。
NTT走ろう会所属(入社後4年間)
陸連登録選手(日本陸上競技連盟登録競技者,2019年11月現在)
1983年2月 青梅マラソン完走(第17回青梅報知マラソン大会,30km,東京都青梅市)(当時,修士2年生,初めてのマラソン大会出場)
1984年2月 青梅マラソン完走(第18回青梅報知マラソン大会,30km,東京都青梅市)(入社1年目)
1986年2月 青梅マラソン完走(第20回青梅報知マラソン大会,30km,東京都青梅市)(入社3年目)
2015年10月 第19回滑川ほたるいかマラソン完走(ハーフマラソン,21.0975km,富山県滑川市)
2015年10月 富山マラソン2015完走(フルマラソン,42.195km,富山県高岡市・射水市・富山市)
2016年3月 能登和倉万葉の里マラソン2016完走(フルマラソン,42.195km,石川県七尾市)
2016年10月 富山マラソン2016完走(フルマラソン,42.195km,富山県高岡市・射水市・富山市)
2016年11月 第36回つくばマラソン完走(フルマラソン,42.195km,茨城県つくば市)
2017年3月 能登和倉万葉の里マラソン2017完走(フルマラソン,42.195km,石川県七尾市)
2017年6月 第34回カーター記念黒部名水マラソン完走(フルマラソン,42.195km,富山県黒部市)
2017年10月 東北・みやぎ復興マラソン2017完走(フルマラソン,42.195km,宮城県岩沼市・亘理町・名取市)
2017年10月 富山マラソン2017完走(フルマラソン,42.195km,富山県高岡市・射水市・富山市)
2017年11月 第7回神戸マラソン完走(フルマラソン,42.195km,兵庫県神戸市),
2018年10月 富山マラソン2018完走(フルマラソン,42.195km,富山県高岡市・射水市・富山市)
2019年3月 能登和倉万葉の里マラソン2019完走(フルマラソン,42.195km,石川県七尾市)
等
角畠 浩講師
室谷惇司技術職員